RETROSPECTIVE — FIFA WORLD CUP
ロシア2018
激動と新生の記憶
2018年1月14日〜7月15日。VARの初導入、強豪国の相次ぐ失速、そして新星の誕生。戦術的パラダイムシフトが起きた激動の大会を振り返る。
OVERVIEW
VAR導入と「セットプレー」の大会
2018年のFIFAワールドカップは、東欧初となるロシアで開催された。今大会最大のトピックは、W杯史上初となる「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)」の導入である。これによりペナルティキックの判定が大幅に増加し、試合の透明性が高まると同時に、緻密なセットプレー戦術が勝敗を分ける重要なファクターとなった。
また、前回王者のドイツがグループリーグで姿を消し、アルゼンチンやブラジル、スペインといった優勝候補が早期に敗退する波乱の展開に。その中で、組織力とハードワークを極めた国々が素晴らしい躍進を見せた。
🏆 大会得点王(ゴールデンブーツ)
今大会の得点王に輝いたのは、イングランド代表のハリー・ケイン。圧倒的な決定力と冷静なペナルティキックを武器に、大会通算6ゴールをマーク。チームを1990年大会以来28年ぶりとなるベスト4へと牽引する原動力となった。
GROUP STAGE
グループリーグ全結果
各グループの上位2チームが決勝トーナメントへ進出。🔴は決勝T進出チームを示す。
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 ウルグアイ | 3 | 3 | 0 | 0 | 9 |
| 🔴 ロシア | 3 | 2 | 0 | 1 | 6 |
| サウジアラビア | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| エジプト | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 スペイン | 3 | 1 | 2 | 0 | 5 |
| 🔴 ポルトガル | 3 | 1 | 2 | 0 | 5 |
| イラン | 3 | 1 | 1 | 1 | 4 |
| モロッコ | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 フランス | 3 | 2 | 1 | 0 | 7 |
| 🔴 デンマーク | 3 | 1 | 2 | 0 | 5 |
| ペルー | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| オーストラリア | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 クロアチア | 3 | 3 | 0 | 0 | 9 |
| 🔴 アルゼンチン | 3 | 1 | 1 | 1 | 4 |
| ナイジェリア | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| アイスランド | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 ブラジル | 3 | 2 | 1 | 0 | 7 |
| 🔴 スイス | 3 | 1 | 2 | 0 | 5 |
| セルビア | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| コスタリカ | 3 | 0 | 1 | 2 | 1 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 スウェーデン | 3 | 2 | 0 | 1 | 6 |
| 🔴 メキシコ | 3 | 2 | 0 | 1 | 6 |
| ドイツ | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| 韓国 | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 ベルギー | 3 | 3 | 0 | 0 | 9 |
| 🔴 イングランド | 3 | 2 | 0 | 1 | 6 |
| チュニジア | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
| パナマ | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 |
| チーム | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🔴 コロンビア | 3 | 2 | 0 | 1 | 6 |
| 🔴 日本 | 3 | 1 | 1 | 1 | 4 |
| セネガル | 3 | 1 | 1 | 1 | 4 |
| ポーランド | 3 | 1 | 0 | 2 | 3 |
JAPAN NATIONAL TEAM
西野ジャパン、下馬評を覆す激闘
大会直前の監督交代劇により、厳しい前評判のなかロシアへ乗り込んだ日本代表。しかし初戦で難敵コロンビアを撃破すると、フェアプレーポイント差での劇的なグループ突破を果たす。決勝トーナメントでは世界のトップ、ベルギーを究極まで追い詰めた。
開始早々に相手の退場とPKを誘発し、香川真司が冷静に先制点を決める。前半に同点に追いつかれるも、後半に大迫勇也が執念のヘディングシュートを叩き込み勝ち越し。W杯史上、アジアのチームが初めて南米の強豪を破る歴史的快挙となった。
身体能力に勝るセネガルに2度リードを許す苦しい展開ながら、乾貴士の狙い澄ましたシュートと、途中出場の本田圭佑の同点弾で追いつく。粘り強い全員サッカーで貴重な勝ち点1をもぎ取った。
後半に失点し0-1とされるも、同時進行の試合結果を考慮し、終盤はリスクを避けてパス回しに徹する異例の選択。他会場の結果により、イエローカードの数がセネガルより少なかった日本が「フェアプレーポイント」で辛くも2位通過を決めた。
後半、原口元気と乾貴士のスーパーゴールで世界3位のベルギーから2点リードを奪う快挙。しかし、ここからベルギーの猛反撃と選手交代に屈し同点に。そしてアディショナルタイム残り数秒、日本のCKからのカウンター「14秒の超高速アタック」を浴びて痛恨の逆転負け。あと一歩でベスト8という夢は潰えたが、世界を震撼させた名勝負として記憶に深く刻まれた。
KNOCKOUT STAGE
決勝トーナメント — 劇的サスペンス
公式記録に基づく、決勝トーナメントの試合結果。クロアチアの執念の連続延長戦が光った。
| ラウンド16 | 準々決勝 | 準決勝 | 決勝 |
|---|---|---|---|
| 🇺🇾 ウルグアイ 2 🇵🇹 ポルトガル 1 |
🇫🇷 フランス 2 🇺🇾 ウルグアイ 0 |
🇫🇷 フランス 1 🇧🇪 ベルギー 0 |
🏆 🇫🇷 フランス 4 – 2 🇭🇷 クロアチア |
| 🇫🇷 フランス 4 🇦🇷 アルゼンチン 3 |
|||
| 🇧🇷 ブラジル 2 🇲🇽 メキシコ 0 |
🇧🇪 ベルギー 2 🇧🇷 ブラジル 1 |
||
| 🇧🇪 ベルギー 3 🇯🇵 日本 2 |
|||
| 🇪🇸 スペイン 1 (3) 🇷🇺 ロシア 1 (4) |
🇭🇷 クロアチア 2 (4) 🇷🇺 ロシア 2 (3) |
🇭🇷 クロアチア 2 🇬🇧 イングランド 1 |
|
| 🇭🇷 クロアチア 1 (3) 🇩🇰 デンマーク 1 (2) |
|||
| 🇸🇪 スウェーデン 1 🇨🇭 スイス 0 |
🇬🇧 イングランド 2 🇸🇪 スウェーデン 0 |
||
| 🇬🇧 イングランド 1 (4) 🇨🇴 コロンビア 1 (3) |
※クロアチアは決勝トーナメント1回戦から準決勝まで3試合連続で延長戦(うち2回はPK戦)を戦い抜くという驚異的な鉄人ぶりを披露。人口約400万人の小国ながら、魂のハードワークで決勝へ上り詰める大躍進を遂げた。
EPILOGUE
レ・ブルーの戴冠と新時代の幕開け
「ニューヒーロー」が、世界のパワーバランスを塗り替えた。
決勝トーナメントで驚異的なスタミナと結束力を見せつけたクロアチアの躍進、そして開催国ロシアの快進撃など、フットボールの本質が「個の技術」から「洗練された組織構造と走力」へ移行していることを強く印象づけたロシア大会。
その頂点に立ったのが、20年ぶり2度目の優勝を果たしたフランス(レ・ブルー)である。決勝戦は、粘るクロアチアをフランスの圧倒的なカウンターと若き才能が粉砕し、4-2の壮絶なスコアで幕を閉じた。
この決勝戦、そして大会を通じて最高に輝いたのが、当時19歳のフランス代表キリアン・エムバペ(ムバッペ)と、クロアチアの絶対的司令塔ルカ・モドリッチの2人だ。エムバペは決勝でペレ氏以来となる「10代でのW杯決勝ゴール」を記録し、超高速スプリントで世界にその名を轟かせた。一方、敗れはしたものの、中盤で卓越したゲームメイクと無尽蔵の運動量を見せ続けたモドリッチには、大会最優秀選手(ゴールデンボール)の栄誉が贈られた。
この2人の激突は、まさにサッカー界における「偉大なベテラン」から「次世代の怪物」への過渡期を象徴するものであり、ロシアの地から新たな時代が始まったことを告げる完璧なエンディングであった。





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